2022年10月28日 計量史をさぐる会2022
年縞とは、長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く縞模様の湖底堆積物のことで、縞に含まれる花粉・火山灰・黄砂などから過去の植生や気候を、放射性炭素の残量から未知の出土品がいつの時代のものかを知ることができます。
福井県の水月湖は年縞の形成に理想的な湖で、湖底より掘削された7万年分・45mの年縞は2012年にユネスコ本部で時代を決める世界標準のモノサシと認められました。
弊社が運営する国内最大の計量史展示館「東洋計量史資料館」では、縁あって2019年よりこの年縞7万年分のデータと約1,000年分の年縞現物を展示しています。
記念講演では、この年稿7万年分のデータから、噴火・地磁気・氷河期といった自然環境の話、長さの測定・月の満ち欠けを観測して記録し始めたのはいつ頃かといった人類の計測の歴史の話、四大文明による森林伐採でCO2増加が始まったのはいつ頃かといった地球温暖化の話など、多岐にわたる報告をしました。
また、東洋計量史資料館で展示中の「山本コレクション」もご紹介しました。山本コレクションは、山本幸雄氏が収集された測量に関する計測機器並びに関連資料です。長野市の「はかりの館」で公開されておりましたが、山本氏のご厚意で寄贈いただき、2020年より公開しています。
江戸中期の測量マニュアル、伊能忠敬測量図の写し、計算機器類の進化、自動製図システムなど、貴重な歴史的資産にご聴講の皆様も感心されていました。
講演及び研究発表会後は東洋計量史資料館へ移動し、記念講演のテーマでもあった年稿を始めとする多くのコレクションをご見学いただきました。
その貴重で美しいものさしを、皆様じっくりと眺めていました。
東洋計量史資料館は、古い度量衡の歴史を後世に残すべく決意された先達の思いを引き継ぎ、「計ること」の大切さをご理解いただく一助になればという思いで設立されました。
松本市へお越しの際は、ぜひ東洋計量史資料館のご見学はいかがでしょうか。お待ちしています。
▼東洋計量史資料館では、様々な「はかる道具」を展示しています。
▼過去の信州情報で、学会を行ったあがたの森公園をご紹介しています。レポート:総合開発研究所 高橋浩
講演会・資料館見学 撮影:AW事業部 結城徹也