2022年6月27日 残雪と新緑の上高地
梅雨入りしてからも6月とは思えないほど暑い日が続いていましたが、今年は観測史上最も早い梅雨明けとなったそうです。梅雨が明けると、いよいよ夏本番と感じますね。水を浴びたくなるような、汗ばむ日もますます多くなってくるのではないでしょうか。
今回は、まだ雪が残る穂高連峰と新緑が織りなす美しい風景を眺めることのできる上高地を散策してまいりましたので、ご紹介いたします。
上高地は、長野県松本市にある標高約1,500メートルの山岳景勝地です。日本でも珍しい、「特別名勝」と「特別天然記念物」の両方に認定され、国の文化財に指定されています。
現在、この2つの文化財指定を受けているのは「黒部峡谷附猿飛(くろべきょうこくつけたりさるとび)ならびに奥鐘山(おくかねやま)」と「上高地」の2か所のみとなっています。
天然保護区域として大切に守られている上高地では、様々な動植物を見ることができます。
散策の中で、たくさんの高山植物に出会いました。
ショウキランです。葉がなく、光合成を行わない菌従属栄養植物で、花の形が魔除けの神・鍾馗(しょうき)の帽子に似ていることから名付けられたそうです。
カラマツソウです。花弁がなく、花弁状の萼片(がくへん)も早くに落ちてしまうため、多数の白い雄しべが花の主体となっています。
オオカサモチです。高さが1.5m程にまでなり、茎の先に小さな白色の花をたくさん付けている姿はよく目立ちます。「大傘持」と書き、貴人の行列などにお供した傘持ちに見立てて名付けられたそうです。
ミヤマニワトコです。ニワトコの変種で、高山種とされています。落葉樹ですがニワトコと比べて小型で、樹高が1~1.5m程の小低木です。面白い形をしており、このような花の付き方を円錐花序(えんすいかじょ)と呼ぶそうです。
ベニバナイチヤクソウです。「紅花一薬草」と書き、薬草としての効用もあるそうです。赤みのある茎に、ピンク色の花がまばらに咲きます。白い花を付けるコバノイチヤクソウもあります。
タガソデソウです。白い花弁に、半透明の筋があるのが特徴です。国内では分布が限られており、現在は中部地方内陸(長野県、山梨県、岐阜県)でのみ生育が確認されているようです。
ズダヤクシュです。白い小さな花を咲かせます。ズダは信州の方言で喘息のことをいい、喘息に効く薬として「喘息薬種」の名前が付けられたといわれています。
カンボクです。白い花弁のような雄しべも雌しべもない装飾花が周りを囲み、中央部の集合体がカンボクの花となっています。秋になると、つやのある澄んだ赤色の実がなります。
途中で見つけたこちらの蝶は、タテハチョウの仲間でしょうか。止まっている姿を写真に収めることができました。上高地では、長野県に生息する150種類ほどの蝶の内、60種類以上の蝶が確認されたという調査もあるそうです。
季節ごと、様々な姿を見せてくれる上高地。たくさんの自然に触れて、気持ちの良い空気を吸い、ゆっくりとした時間を過ごすのもいかがでしょうか。夏はどんな花が咲くのか楽しみですね。
信州を訪れた際は、ぜひ上高地にも足を運んでみてください。
撮影:代表取締役会長 土田泰秀